こんにちは。いつもレッスンの時間を大切にしてくださり、ありがとうございます。
ピアノ教室の大きなイベントといえば、やはり発表会。
キラキラした照明、大きなグランドピアノ、そして客席からの温かい拍手。あの一瞬のステージのために、生徒たちは何ヶ月も前から一音一音を慈しみ、練習を重ねていきます。
今年も発表会の日程が決まりました。生徒の皆様、保護者様、詳細発表まで楽しみにしていてくださいね。
さて、今日は、私が発表会の選曲において、最も大切にしている「こだわり」についてお話ししたいと思います。
実を言うと、講師を始めたばかりの頃の私は、「発表会ではクラシックの名曲を弾くべきだ」という強いこだわりがありました。
バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン……。それらはもちろん素晴らしい芸術ですし、技術を磨く上では欠かせないものです。
しかし、多くの生徒たちと向き合う中で、私の考えは少しずつ変化していきました。
普段のレッスンでは、基礎を固めるために教本にコツコツと取り組みます。それは、地道で少し忍耐のいる作業かもしれません。
だからこそ、発表会という特別なハレの日には、
「その子が心から弾きたいと思う曲」
「その子が一番輝ける曲」を選んであげたいと強く思うようになったのです。
選曲の基準は「その子が主人公になれるか」
私が選曲をする際に大切にしているのは、知名度や難易度だけではありません。
①本人がその曲を弾きたいと思っているか
好きな曲であれば、練習が辛い時も乗り越えられます。
瞳を輝かせながら「このメロディが好き!」と言う時のエネルギーは、上達を何倍にも加速させます。
②その子の「強み」を引き出せるか
繊細な表現が得意な子、力強くリズムを刻むのが得意な子。
一人ひとりの持ち味を最大限に活かし、ステージ上で最も「映える」一曲を探し出します。
③少し背伸びをした先にある達成感
今の実力よりほんの少し高い壁。
それを乗り越えてステージに立った時、子供たちは見違えるほど自信に満ちた表情を見せてくれます。
発表会といえば、誰もが知る「エリーゼのために」や「小犬のワルツ」なども素敵です。
聞き馴染みのある曲は、会場全体を包み込む安心感がありますよね。
一方で、私の密かな楽しみは「隠れた名曲」を探し出すことです。
まだあまり知られていない現代の作曲家の作品や、美しい旋律を持ちながら演奏機会の少ない小品。
楽譜の山をひっくり返し、「あ、これはあの子にぴったりだ!」とパズルのピースがハマるような瞬間は、講師としての至福の時間でもあります。
「みんなと同じ」ではない、その子だけの特別な一曲。
「この曲に出会えてよかった」
「ピアノを続けていてよかった」
「今の曲、なんていう曲だろう? 素敵だったね」と声が漏れるような、一人ひとりに寄り添った選曲で、新鮮な感動をお届けしたいと考えています。
発表会は、練習の成果を披露する場だけではありません。
曲を選び、苦戦し、それでも自分を信じて弾ききったとき、子供たちは技術以上に「心」も大きく成長します。
今年の発表会では、どんな輝きに出会えるでしょうか?
生徒たちがステージの真ん中で、誇らしげに最後のお辞儀をする姿を想像しながら、今日も楽譜を開いています。



